渡航体験記Vol.69(関西学院大学1年Kさん)

―体験記をご覧の皆様へ―

「舟」を意味するSHIP。それぞれの文字が、「SHIP」に参加するにあたり意識すべき行動規範を指しています。

SHIRU ~世界を、自分を、「知る」機会~

HARD ~ビジネスのリアルな厳しさ~

INFLUENCE ~世界に「影響」を与える体験~

POTENCIAL ~切り拓く自らの「可能性」~

SHIPに参加する渡航者はこれらの行動規範に沿った目標とそれを達成するための具体的な目標を立てます。これらを頭に入れて頂いた上で読んでいただくと一層渡航者のリアルな体験が感じられることと思います。


■大学名:関西学院大学

■学年:1年生

■渡航時期:Q4(1~3月期)

■目次

○はじめに

○SHIPに応募した経緯

○SHIPで学び得たこと

○今後に向けて

○おわりに


■はじめに

 はじめまして。関西学院大学商学部1年生Kです。インドではボンベイ店でお世話になりました。語れる経験をしたいというのも志望動機だった私が今ここで語れることは、「最弱4人が最強チームになった軌跡」です。SHIPの環境ならではのエピソードを交え、将来道に迷った自分のため、そしてこれを読んでくださった誰かのほのかな道しるべとなることを願ってここに書き記します。どうかお付き合いください。


(↑帰国直前の4人の仲良しショット)

   



(↑SHIPを通して親友兼戦友になったY。1年生女子が2人しかおらず、励まし合いました。)


■SHIPに応募した経緯

 2018年9月。私は知るカフェ関西学院大学前店のオープニングスタッフとして採用していただき、9月26日のオープンに向けて準備をしていました。知るカフェは店舗運営に関わるほとんどの業務を学生スタッフが行っているのですが、1年生で未熟だったこともあり私はどの役職にもつけませんでした。当時店長には、「あなたはどんな分野でも活躍できるから特定の役職にはつかず各方面での活躍を期待している」というお言葉をかけていただきましたが、私は自分の秀でた能力の無さを痛感していました。そこで積極的なコミュニケーションに力を入れ始めました。それによって他店舗のお仕事が私に舞い込んでくるようになり、そこで知り合ったK先輩にSHIPへの挑戦を勧めていただいて応募に踏み切ります。その日は関学店オープンの日でした。

 SHIPの存在は知っていましたが、9/26にオープンする店舗のために研修真っただ中のスタッフが9/30が期限の海外店舗インターンの募集に応募するなんて、まさか応募して合格させていただけるなんて、と思い躊躇していました。しかし最終的に、「なんだこの子」と覚えていただけたらそれでいいや、と割り切って応募しました。予想外に私の思いが届き、2月からの渡航が決まりました。国内での採用後渡航するまでのスパンは史上最速だったのではないかと思っています。声をかけていただいてから数日間で応募に踏み切った私の勢いと勇気はどこから湧いてきたのか不思議でたまりませんが、SHIPはそれだけ私にとって直感的にも魅力のあるプログラムでした。

せっかくのオープニングスタッフ。自分の負けず嫌いな性格と社交性のおかげで、晴れてあこがれの関学店初代SHIP渡航スタッフになることができました。よくやった半年前の私。

  

(↑インドといえばタージマハルを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。本物は教科書の写真よりも数倍輝いていました!ここで法被を着たのは私たちが初めてじゃないかな。)

        

(↑Facebookの投稿で史上最高数のいいねとシェアをいただいた投稿。期間限定ライチジュースは本当に盛況でした。)


■SHIPで学び得たこと

 初めての国でその文化に触れ、新たに友人をつくって過ごした、それだけでたくさんの学びを得られるであろうことは、みなさんの想像の範疇だと思います。そこで結果を求めてお仕事をしていたのだから、もちろん数えきれない学びがありました。ここには書ききれません。そこで今回は、私がともに渡航した一橋大Aさん、大阪大Mさん、神戸市外国語大Yさんと私の組み合わせだからこそ起こったトラブルと学びをまとめようと思います。

 SHIPでは、毎月追うべき数値が設定されており、インドにある5店舗で結果を競います。もちろんわれわれボンベイ店も他の店舗に負けたくはありませんでした。しかし、各数値を追う意義を理解できておらず、結果を出すことにこだわれていませんでした。2月末に数値結果が開示されたときはさすがに4人とも内心焦っていました。「インドに来て何もしていないじゃないか」と。でもその気持ちをシェアすることさえもためらうほどのなんとなくの親しさでしかありませんでした。インド事業に関して、マネジメントにおいて頼れる方は社員のHさん一人しかいませんでした。全スタッフにとって頼みの綱のような存在だったHさんに頼りすぎるわけにはいかず、自店舗のことは4人で解決しなくてはいけない状況に自然と追い込まれました。

4人はバラバラで最弱だった

 

〈私たちの最弱ポイント〉

① なんとなく仲良くできる

② なんとなくどの環境でも楽しめる

③ なんとなくお仕事をこなせる

④ なんとなくしたいことをそれぞれ持っている

⑤ なんとなく自分なりのこだわりがある

⑥ なんとなく丸くおさめることができる

⑦ なんとなくSHIPにモチベーションがある

⑧ なんとなく自分と周囲の環境が好きで恵まれていると感じている

⑨ なんとなくお互いのことが好き

しつこいですね。すみません。このなんとなく、というのが私たちの間に厚い壁を作っている張本人でした。「なんとなく」はふんわりと正解に近いものを作り出してしまいます。変化や本気になる必要性に駆られないのです。4人でシェアハウスなのに帰宅後すぐに各自部屋に戻り、意見がぶつかりそうなら譲り、店舗トラブルに文句を言わず淡々と解決に向かい…。私たちはそれぞれ「人とうまくやる」ということがどういうことなのかを知っていました。決して互いに干渉せず、踏み込まず、自分の領域も守りながら確実にうまくやっていました。見ない・見せないを程よく行っていたのです。でも上のリスト、「なんとなく」を隠してみてください。最強チームになれると思いませんか?そこで私はみんなの心に土足で(この場合、裸足で、という表現のほうがしっくりくるかもしれませんが)踏み込むことに決めました。3月初めの休日に自宅リビングに4人で集まり、自分の生い立ちや考え方の根幹となる部分、失敗経験やトラウマ、恋愛遍歴、自分の好きなところ嫌いなところ、互いに対する思いなど、とにかくすべてを夜通しさらけ出し合いました。


裸足で得たもの

① 自分含めそれぞれのやりたいことが見えた

→注視しているものは違えど、方向性は同じだということが分かった

→自分が本気になれるものは他3人にも必要なものだと自信がついた

→全力で熱くなれるようになった


② 自分含めそれぞれの強みを知った

→タスクを細かく工程に分け、得意分野を担当するようになった

→チームで助け合ってひとつのタスクを完遂


③ 自分含めそれぞれの弱みを知った

→悩みを抱えそうなポイントが事前に把握できている

→強がる必要も遠慮する必要もなくなった

→頼る・頼られるの関係が場面ごとに自然にできるようになった


 まずはこの3点。自分含めというところがカギです。私たちは1か月間、うまくやるということを第一に考え行動してきました。もめないために互いに観察し、行動パターンをよく知っていました。お願いせずとも客観的に自分のことを分析してくれている人がいたのです。衝突しないための手段でしかなかった観察がチームをさらに磨いてくれました。


自分たちの深部の可視化を済ませた私は、目標と工程の可視化をインドに来てから行っていないことを思い出しました。国内ではスケジュール帳で1日の予定を30分ごとに管理している私が、渡航してから目標達成スケジュールを全く書き出していなかったのです。今まで鍛えてきた戦い方を使わずして、勝てるはずがありません。気づいたその日にカレンダー数枚を大きく印刷し、各タスクごとに達成予定日程を書き込み、スタッフ全員が見えるところに貼りました。そして毎日進捗状況を書いて、終業後に喜びと感謝を表現するため少し大げさなほどの明るい声と表情で成果報告を行い、4人全員の達成感を高めることにも努めました。うまくいった日こそ要因を突き止め、同じ状況を作るためにするべきこと、実現できる日を想定しスケジュールの訂正もこまめに行いました。


④ 4人はチームだ、と認識した

これが一番大きな収穫でした。もうこれ以上ないほど互いを知っているのです。皆さんには自分よりも自分を知っている存在はありますか?前述のさらけ出し会の際、「本人以上に本人を知っている人なんていない」と意見されました。あの時はあまり上手に説明できなかったので、もう一度ここで。どこかで(なんとなく)気づいていることと知っていること、これは明確に異なります。言語化して意識下に置き、その存在を素直に認められた時はじめて知っていることになりますよね。こんな経験はありませんか?失敗したとき、批判されたとき、自分自身の期待に応えられないときに、ついに自分がわからなくなる。長所は短所の裏返しのような気がして、特技は他の誰かより劣っている劣等感に襲われる。私はこれまで何度もこの状況に陥りました。もう抜けられませんよね。見えていたし、知っていたはずなのに自分のポジティブな側面を隠してしまうのです。この時、自分より自分を知っている存在に出会います。本音をぶつけてくれる友人、仲間です。私は、AさんのこともMさんのこともYさんのこともよく知っています。三人は自分の魅力がわからなくなったら私に聞きに来てください。弱っている本人よりも、確実にそれぞれの魅力をプレゼンできます。きっとこれ、AさんもМさんもYさんも私に対してそう思っています。私のことを私に負けないくらいよく知っている、と。そうつまり、SHIP渡航期間が終わっても大人になっても頼れる存在ができたということです。これは何物にも代えがたい大きな財産となりました。


最強チームになり、三月度店舗表彰

試行錯誤しながらみんなで戦い抜いた3月。頑張りが数値に現れて本当に嬉しかったです。実は渡航前から4人とも心の底ではここを目指していたのかもしれません。

みんなで楽しみながら成果を出せて、しかもそれを評価していただけたことにとにかく感動しました。4人が生み出したパワーは勘違いではなく、確かに存在し大きな力を発揮しました。まさに最強のチームになった証でした。この結果を得られたからこそ、体験記にチーム力に関して胸を張って書けています。心底楽しんで本気になった時、そこで必ず新しい景色が広がります。綺麗事などではありません。本気の楽しさを知っている方には伝わるはずです。

 

(↑4人でいると笑いが絶えませんでした)

(↑ユニークなお客様が多く、毎日全力笑顔でした!)


■今後に向けて

 私はこの渡航で、「相手を深く知り、理解し、受け入れる」、「自分を知り、知ってもらい、理解してもらい、受け入れてもらう」という経験をしました。このことにとても大きな充足感を感じ、チームで行動する際に見逃してしまいがちな、でも確実に大切な核の部分に触れることができました。

 この経験は、生活とビジネスに追われ、理想と挫折と意地に悩まされるインドでこそ得られたものです。成長のためにこんな好条件はありません。

しかしいつまでもインドにはいられない。そして環境のせいにして甘えてはいられません。私はこれからも自分を磨くために貪欲に進み続けます。あの成長と感動を絶対に幻にしません。


■おわりに

 体験記を書く際、写真を手に渡航を振り返り、どれだけ恵まれていたか再認識しました。同じステージで共にもがいたQ4のみなさん、寄り添ってくださった事業部の皆さん、日本から応援してくださった知るカフェ関学店の皆さん、充実した日々をありがとうございました。

 そしてなにより、貴重な時間を共有してくださったAさん、Мさん、Yさん。渡航がみなさんとでなければこんなにインドを、そして自分を好きになれることはなかったと思います。皆さんと過ごした時間は私の誇りであり、皆さんとの出会いは一生の自慢です。お別れのときの号泣ぶりで伝わっているかとは思いますが、Q4ボンベイ大好きです。最高です。

 

人との関わりの中で大きな感動を得られる体験がインドで待っています。

なんとなく満たされたあなたに、届きますように。

知るカフェ海外インターン「SHIP」公式ブログ

知るカフェの運営する海外インターシップ「SHIP」 参加者体験記やSHIPについて発信する公式ブログです。 他では得られない経験。世界という大海を渡るために必要な「舟」を、あなたに。 「世界へ、漕ぎ出せ。」