渡航体験記Vol.81(関西学院大学2年Kさん)

■大学名:関西学院大学

■学年:2年生

■渡航時期:4月〜7月

■目次

○はじめに

○SHIPに応募した経緯

○SHIPで学び得たこと

○今後に向けて

○おわりに


■はじめに

はじめまして。関西学院大学2年のKです。

今回私は、知るカフェが運営する「SHIP」という海外インターンに参加させていただきました。初海外のインド、そこで経験した思い出は今でも鮮明に残っています。インドが教えてくれたものや気づかせてくれたもの、そして手に入れたもの、それを記していきます。海外に行ったことがないけど「SHIP」には参加したい!という方の後押しになれば幸いです。

■SHIPに応募した経緯

僕がSHIPに応募した理由はいくつかあります。せっかくの機会なので記してみたいと思います。長くなりそうなので、興味のある方だけ読んでいただけたらって感じです!

✓人生のスパイス

「インドで三か月働いてきたわ」この言葉を久しぶりに会った友人から聞いたとき、あなたはどう思いますか?おもしろくないですか?(笑)

僕の身の上話になりますが、昨年成功率1割未満の仮面浪人を成功させ、練習無しでフルマラソンを完走するという快挙(!?)を成し遂げました!

そんな人間にインドで働いたという経験、まさに鬼に金棒だと思うんですよ(笑)

✓ 圧倒的好待遇

 僕は大学生活中に留学に行くことが夢でした。英語を学びつつ、異国の人たちと仲良くなりたいと思っていました。しかし、一度大学を中退したこともあって、留学に行くのは金銭的に難しい状況だったので諦めていました。

 そんな中で出会ったSHIP、渡航費無料(条件あり)かつ有給インターン。こんな好待遇な条件ってなかなかないですよね?まさに自分の為に用意されたのじゃないかと思ったくらいでした(笑)

✓焦り

 上記の二つと違って、少し真面目な理由になります。

皆さんは何の為に大学に通っていますか?「学問」「就職」「人生最後の夏休み」「サークル」など様々な理由があると思います。

知るカフェに入るまで、僕にとって大学は「ブランド」でしかありませんでした。「大卒」というブランドを手に入れるために4年間通い続ける、これが僕にとっての大学生活。その特典に「人生最後のモラトリアム」が付いてくるくらいの考えでした。

しかし、知るカフェに入ってから、その考えは一変しました。同じ店舗のスタッフや他大学の輝いているスタッフとの出会うことで、大学に通うことの意義を見出すことが出来ました。彼らに追いつきたい一心でがむしゃらに頑張りました。ですが、現実は非情です。頑張るのは自分だけではありません。周りの人も同じように努力します。むしろ僕の何倍も。結局自分は置いて行かれました。自分の無力さに唖然とする日々でした。

そんな中、過去にSHIPに参加したスタッフとお話をする機会がありました。SHIPだからこそ経験できた話を聞いて、少しずつインドに思いを馳せるようになりました。気づけば、「インドが俺を呼んでいる、、、?」「もしかしてインド行くことでめっちゃ成長できるんちゃう、、、?」と思い込むようになりました。一種の荒療治です。思い立ったが即日決行、SHIP関係者にコンタクトを取り応募することにしました。

自分から逃げることのできないインドで、根本的な弱さから見つめ直したかったのでしょうね。

ボンベイ店の写真です。渡り廊下に位置するので、休み時間は人で溢れます。


■SHIPで学び得たこと

今更ですが皆さん、「SHIP」って具体的に何をしているのかご存知ですか?「そんなん知ってるわ!」って方は読み飛ばしてください。

【SHIPとは⁉】

SHIPはインド最高峰の国立大学・インド工科大学の学生と世界的企業を相手に、学生2~4人で知るカフェを運営します。日々の接客はもちろん、定量的な目標値の達成のための施策の立案・実行、また、事業部の課題に対する解決策を考案し、実行するプログラムのことです。上記の内容を頭の隅に置いていただくと、少しはイメージしやすくなると思います。

✓タスク管理能力

【圧倒的業務量】

僕は元々知るカフェの国内スタッフでした。特に役職も経験したことがない僕にとって、SHIPの業務量は比べ物にならなかったです。僕が担当していたのは「店長代理」「経理・シフト担当」でした。途中で役職の変更はあったものの、固定業務だけで1日が終わることも少なくはありませんでした。そんな中、どうすれば効率よく作業が出来るかを模索した結果、ある一つの方法にたどり着きました。

【毎日のPDCA】

「今更かよ」と思った方も多いとは思いますが、タスク管理を始めました。日本で手帳を使用していましたが、予定を確認するだけの冊子以外の何物でもありませんでした。しかし、1日の流れをPDCAで管理することで、記録だけでなく、1つの資料に変化します。そして、自分の業務進行度を可視化することが出来ます。当たり前ですが、可視化ってとても重要で、するとしないで大違いです。作業の抜けや重複することもなくなります。また、改善点を洗い出すことができるので、「課題発見力」を身に着けることが出来ました。更には、自分が発見した課題を改善・修正することで、「課題解決能力」も身に着けることも出来ました。1日20分、自分を振り返ることで、毎日の過ごし方が大きく変わります。その大切さを「知る」ことができるのも、SHIPならではの魅力ではないのかと思います。

✓写真が教えてくれたこと

【About インド人】

突然ですが、インド人ってびっくりするくらい写真好きなのをご存知ですか?これはインド人だけに当てはまりませんが、外国の方ってめっちゃ写真好きなんですよ。特にインド人は別格で、自分の自撮り写真をスマホの待ち受けにするくらいです。

【写真+インド人+KPIの化学反応】

僕の趣味は写真撮影です。この何の変哲もない趣味が、僕のSHIP生活を彩ってくれました。

SHIPではKPI(重要業績評価指標)という定量的な目標が設定されています。スタッフはこの数値を達成するために、日々施策を立案・実行に移します。当時はFacebook(以下FB)のフォロワー数を追うのが僕の仕事でした。ある営業日、KPIの施策を考え疲れて、お客さんへのホスピタリティーと気分転換もかね、知るカフェに来てくれた彼らを撮影する日がありました。思いのほか受けがよく、たくさんのインド人から好評でした。撮影中、「FBに写真共有すればみんな見るんちゃう…?」「これFBフォローしてくれた人を撮影するってことにしたら数値達成できるやん!」と思うようになり、この考えを当時同じ店舗であったSちゃんに相談しました。その甲斐あって、施策まで持ち込むことが出来ました。結果は大成功で、歴代最高の数値を叩き出すことが出来ました。施策を行った3日間でKPIを達成することができ、自分の写真に誇りを持つことが出来ました。

【写真ってすごいぜ】

この出来事を通していくつかのことに気づくことが出来ました。1つ目は結果第一です。どんなに過程を彩ったとしても、結果が出ないとただの自己満足に過ぎません。僕たちが取り組んでいるのはインターンであって、アルバイトではありません。各々が責任感を持って、課された業務を達成する。いわば「当事者意識」ですね。2つ目はお客さんへの付加価値です。ただドリンクを飲みに知るカフェに来てもらうだけじゃ、そんじゃそこらのお店と変わりません。ドリンクだけでなく「経験価値」、僕の場合はカメラでカフェ以上の価値を創りだす。これが知るカフェのミッションであり、僕らに体現できるホスピタリティーではないのでしょうか。

↑インド人と僕です。写真だけでここまで仲良くなれるっていいですよね。

↑僕が撮影した写真アルバム。これ以外にも何百枚もあります。このアルバムのシリーズは、いいねや閲覧数、フォロワー獲得数や増加率などの各種数値で、歴代最高の結果を叩き出すことが出来ました。


✓ 自分を「知る」

【挫折と苦悩】

僕にとってのSHIPは挫折と失敗ばかりでした。ロジックで物事を考えるのが苦手で、施策の立案などでは苦戦することばかりでした。また、英語を話すことが出来ないので、他のスタッフと比較した時にどうしても劣等感を感じることがありました。僕は一度マイナス思考に陥ると、とことん自分を追い詰めてしまう性格です。そのせいもあって、一時期は「マジで自分って無能極まりない」と思うこともありました。

【挫折からの脱却】

そんなマイナス思考のことが続いていた僕に、一つの転機が訪れました。それは、店長のSさんがある本を勧めてくれたことです。内容は「メタ思考」についてでした。(メタ思考とは、物事を俯瞰的に考えていく思考のことです。)この本を読み進めていくうちに、改めて自分がどういう人間かが分かりました。(詳しい内容は割愛します)もう一度自分を見つめ直した時に、「あれ、実は俺全然大丈夫やん」「あ、むしろ俺が率先して動かなあかん奴やん」と新たな視点で物事を捉えることが出来ました。挫折はあくまで過程であって、結果ではありません。過程で終わらせるか、次につなげる懸け橋となるか。僕は後者を選びますね。

【自分と向き合う】

視点を変えることが出来てから、僕のSHIPは大きく変化しました。僕の高校の恩師が「気合と根性や。」とよく口にしていました。いうなれば根性論。これってまさに、プラシーボ効果ですよね。認知世界の干渉により、現実世界へ影響を及ぼすことができると、理想を実現する手段に変化を遂げます。「キャパ出していくか」「気合入れていこや」と認識することで、自分は今まで避けてきた領域に突入することができるようになりました。苦手だった周囲を巻き込んで仕事をすることや、相手を尊重して自分の意見を発言できるようになりました。やってみたら意外と上手くいくものです。

また、自分の弱みからも逃げることもなくなりました。臭いものには蓋をするスタンスでしたが、PDCAを意識することで改善した先のVISIONを見据えることができるようになりました。今の自分の弱みを理解して、改善することが出来たら、新しい自分に生まれ変わることが出来ます。弱点補完出来たら、人間無敵になれると思いません?(笑)

【自分を知るとは】

 自分を知るってどういうものなのでしょうね。答えは人それぞれだと思います。

僕なりの結論は「自分が描く理想の自分に近づくことができる」ではないのかと。結局自分を変えることが出来るのは自分です。自分を知らねば変えられるものも変えられません。外的要因の影響に活かされるのも殺されるもすべては自分次第です。その為にも、誰よりも自分を理解する必要があります。僕はそのきっかけを掴めただけでも、SHIPに来た価値はあったと思います。

↑夕焼けの中、あなたは何を思いますか? 僕はお腹減ったしか思いつきませんでした。


✓人間力

【人間力とは】

そもそも人間力ってなんだよってなりますよね。人間力とは「知的能力的要素・社会・対人関係能力・自己制御的要素」の3つで構成されています。(人間力戦略研究会報告書 : 若者に夢と目標を抱かせ、意欲を高める : ~信頼と連携の社会システム~より抜粋)

【知的能力的要素】

僕は論理的思考が大の苦手でした。今までの人生、苦手意識もあって、論理的思考から避け続けていました。しかし、このスタンスはSHIPに参加することで変化しました。変化したというよりも、変化せざるを得ませんでした。

施策を一つ実行するのにも、費用対効果や効果測定などの検証や仮説を立てなければいけません。また、店舗運営を行っていく上でも、論理的に考えなければいけません。

最初は、「何故こんなにもロジックで物事を考えなければいけないのか?」「考える時間ももったいないし、とにかく行動に移せばいいのに」と考えたりしていました。       

しかし、仕事を行っていくうちに、論理的思考の重要性に気付くことが出来ました。SHIPでは、機械の故障や人為的ミスなどの、不測の事態が頻繁に発生します。そして、その問題からは逃げることはできません。こういった状況に陥った時は、嫌でも考える必要があります。ですが、論理的に考えることが出来れば、問題の本質にたどり着くことが出来ます。そして、本質が分かれば、解決策も発見することも容易にできます。「課題発見力」と「課題解決能力」ってやつですよね。

【社会・対人関係能力】

 「SHIP」では、24時間「同じ」店舗のスタッフと「同じ」空間で過ごします。仕事だけではなく、プライベートも一緒です。一緒にいて楽しいこともあれば、辛いこともあります。そういったときに、どうすれば人間関係が円滑にいくのかを体系的に学ぶことが出来ました。僕の場合は男1女3の環境なので、いままでのやり方では通用しませんでした。これからの時代、女性の社会進出が当たり前の時代になってきます。会社の中でも、女性だけということもあり得ます。そういった観点で考えたとき、時代の先取りが出来たというお得感がありました(笑)

【自己抑制的要素】

インドでは、毎日のように災難が降りかかってきます。具体的な内容は述べませんが、日本ではありえないことばかりです。日本にいる時と同じ気持ちでは、ストレスが溜まって仕方ありません。インドに来て最初は、災難に遭遇する度、ストレスを抱えてばかりでした。インドの環境や人、文化は日本では考えられないようなことばかりです。しかし、毎日の積み重ねで自分のストレス耐性が身についてきます。そのおかげもあって、途中からはストレスを抱えることがなくなりました。ストレスを抱えている時は余分な雑念や怒りのせいで、自分のパフォーマンスを発揮することはできませんでした。ところが、ストレスを抱えなくなった瞬間、様々なところに目を向けることが出来て、今まで以上に仕事に取り組むことができるようになりました。

インドで身につけたストレス耐性は日本でも活きています。今までストレス発生源となっていたものも、今では「インドと比べたら余裕やん」と感じることが出来ました。本当にインドに渡航してよかったと思います

■今後に向けて

 SHIPで学んだことは、一生忘れることはないでしょう。しかし、活用しなければ意味はありません。現状に満足せず、貪欲に生きていくためにも様々なことに挑戦したいと思います。インプットとアウトプットってやつですよね。

 まずは自分の趣味であるカメラの腕前を上げたいと思います。撮影技術だけでなく、被写体も見てくれる人も楽しめる写真を撮影できるようになりたいですね。インドで教えてくれたホスピタリティーの精神を骨の髄まで染み込ませるのが最初の課題です。

 そして、自分の価値を上げるために、大学の授業や読書などの学術的なモノに真摯に向き合っていきたいと思います。インド最高峰のIITBの学生と関わることで、勉学の重要性を再認識することが出来ました。勉強嫌いの自分がこういう気持ちになったことに驚きを隠せません。

 他にも挑戦したいことは山ほどあります。3か月インドに滞在するだけで、今まで触れてきたものが輝きを放って見えるようになりました。当たり前が当たり前じゃなくなる、なんて素敵な感性を身に着けることが出来たのでしょうか。

↑3か月間共に働いた仲間です。自分には無いものを持つ彼女たちには、

刺激されてばかりでした。


■おわりに

 SHIPに参加したことで、自分の人生観を見つめ直すことが出来ました。よく「インドに来たら人生が変わる」と言いますが、実際はそんなことないです。ただ、変わる「きっかけ」がたくさんあるだけです。変われる人はどこにいても変化できます。僕は運よく「きっかけ」を手にすることが出来ました。

 同じ店舗のスタッフやインド人学生、インドという環境など様々な要因はあります。何がきっかけで変化するか分かりません。それってとてもワクワクしませんか?自分の殻に閉じこもっている間は、変化するものもできません。

 変われない自分から脱却したい人は、ぜひSHIPに参加してみてください。インドがあなたを待っています。

知るカフェ海外インターン「SHIP」公式ブログ

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