渡航体験記Vol.64(一橋大学3年Aさん)

■学年:3年

■渡航時期:1月〜4月

■目次

○はじめに

○SHIPに応募した経緯

○SHIPで学び得たこと

○今後に向けて

○おわりに


■はじめに

 はじめまして。一橋大学商学部2年のAといいます。今回、知るカフェが運営するSHIPというインターンで長期間、インド人口No1の都市ムンバイへの渡航を経験させていただきました。貧困と喧騒の国インドを訪れる機会はそう多くないのではないかと思いますが、実はこのムンバイへの渡航は自分にとって2回目の経験でした(1度目もSHIPで来ました)。1度目も素敵な体験をさせていただいたのですが、今回もそれに勝るくらいの素敵な経験を味合わせていただいたので、特に自分に鮮明に残っているものをここに記させて頂こうと思います。


■SHIPに応募した経緯

 SHIPへ応募しようかなと思った1番初めの理由は留学資金(来年からフランス留学予定のため)を作りたいから、春休み何かしようかな?という現金な思いでしたが、他にも数多くあるお仕事の中で2度目のSHIPへ僕の背中を決定的に押してくれたのは「リーダーシップを身に付けたい・英語を使う機会を作りたい・1度目の渡航で得た充実した感覚をもう1度味わいたい・自分のメンテナンスをしたい」という自分が当時持っていた欲求でした。せっかくなので1つずつもうちょっと詳しく書いてみます。

〇リーダーシップを身に付けたい

 この強い思いは、一橋OGでありキャリア形成コンサルタントをなさっている伊賀泰代さん(噂では、有名ブログの「ちきりん」さんだという説もあります)の著書「採用基準」を読んだことで生まれました。この方はもともとコンサルティング会社のマッキンゼーで採用担当を長年務めた経験をお持ちで、マッキンゼー時代にどういう視点で学生を選別していたかが書かれていました。見ている学生の能力は、「①リーダーシップ②頭の良さ③英語力」の大きく3つらしいのですが、本書では1つ目のリーダーシップの重要性を何度も何度も説かれています。本書を1言にまとめると、「リーダーシップの有無で入社後の成長角度が大きく変わる。リーダーシップを持っていれば仕事だけでなくあらゆる場面で自分が舵を切れるので、より充実した人生を送れるようになる。」というメッセージでした(もっと詳しく書かれているので、気になった方は是非本書を読んでみてください)。高校の文化祭の準備時間は友達とカード遊びをしていたり、高校の体育祭当日はグラウンドを抜け出して校舎の屋上から生徒全員がダンスを踊るのを眺めていたりした自分にとって、リーダーシップとは自分に関係ない物だとその時まで思っていたのですが、何としても学生の内にこの力を身に付けたいし、この年になると意識的に身に付けようとしないと手に入らないだろうと感じました。そのため、SHIPという機会を使って自分をリーダー化させようと決意しました。(店長と言う立場もいただいたので運が良かったです。)

〇英語を使う機会を作りたい

 こちらは言うまでもないと思います。留学も控えているので、英語を勉強する必要がありました。

〇1度目の渡航で得た充実した感覚をもう一度味わいたい

 大学1年次で、英語も大してできず、能力も同時期に渡航した店舗スタッフと比べて圧倒的に低く、と残念な状態で参加した1回目のSHIPでしたが、店舗の方々に恵まれ、非常に充実した経験を味合わせていただきました。休日の旅行中なのに、徹夜で仕事の話を熱く語ったあの夜をきっと僕は忘れることはありません。ちなみに、1回目の渡航で僕たちが考えた制度は、半年近く実際に運用していただいたみたいです。あの時に感じた充実感や、自分の力をどんどん開花させている感覚を味わいたいな、という思いから2回目も全力を尽くして何か人が目を見張るような結果を残そう、と思いました。

渡航1回目の体験記:https://shirucafe-global.amebaownd.com/posts/3948502

〇自分のメンテナンスをしたい

 これは、切実な思いでした。大学2年時は、基本的に楽しいものの、何となく自分が上手くいっていない感覚を心のどこかで覚えていました。どこに問題があるかはわからないけど、自分のどこかで少し緩んでいるネジを、しっかりと巻き直すために、インドと言う誘惑の少ない国で自分を見つめることにしっかり時間を使いたい、という思いがありました。インドで同世代の人と共同生活しながら自分を見つめる機会は、絶好のメンテナンスになるだろうと思いました。


■SHIPで学び得たこと

 SHIPで得た学びはいくつもありますが、特に自分が良い学びだったなと思うものを記します。

〇実践の意識

 SHIPにはインド現地に僕たちスタッフをサポートしてくださる社員さんが今のところ1人いらっしゃいます。この社員さんはとても魅力的な方で、多くの示唆をくださる方なのですが、この社員さんがよく「盤上で躍らせるのはよくない。実践できるか。」といったことをよくおっしゃっていました。この社員さんの実践に対する強い意識は、僕ら学生には想像しえない“責任”からくるものだと思いました。いくら美しく見える案を提出したところで、その案を実践する段階で躓いてぼろぼろになってしまっては結局使い物にならないです。社員さんはその“実践”及びそこから生じる“結果”に対して責任を負っていますし、本当に“結果”を出したいと望まれているので、いくら美しく見えても脆い案は、突き返したくなると思います。その方はそんなことは思われないかもしれないですが、僕だったらきっとそう思います。

 でも、この実践の意識って、学生は少し持ちにくいです。なぜなら、本当の意味で最終的な“責任”は降ってこないから。だから、自分がすごいことを考えたと思いたくて、上司に案を絶賛されたくて、どうしても見た目だけ綺麗なか弱い案(ずっと室内で育てられたお姫様みたいな案、といえば良いんですかね笑)を作りがちなのかな、と思います。その社員さんから聞いたのですが、知るカフェでSHIPをずっと支えてこられた伝説的な存在のIさんは、目新しくなくても、がちがちに実践可能性を高めた案(落ちてるものは何でも食べながらたくましく育った、ジャイアンみたいな案?笑)を提出されるそうです。

 事例がないと分かりにくいですよね。2月に、「どうしたら知るカフェの会員数をもっと学内で増やせるか?」を考える機会がありました。これに対し、僕の店舗が考えた案が、授業プレゼン施策でした。その名の通り、インド工科大学の授業前後に教室にお邪魔して、学生に対して知るカフェの紹介を行う、というものです。この案を実行すれば、確実に学生に知るカフェを認知してもらえるし、アプローチできる学生数も多いから、必ず会員数は伸びる、と確信していました。考えたことをやれば結果が出るというふわっとした自信だけがありました。

しかしこの施策に対して社員さんやIさんから「授業プレゼンという案は、実行に至れば必ず成果が出るという点で評価していますが、肝心の実践に大きな問題を抱えている気がします」と鋭い指摘をいただきました。どういうことかといと、大学と契約して出店している以上、知るカフェはどこまでの活動を許される契約になっているのか、また、学内担当者に問い合わせて拒否される可能性はないか、教授自体が時間をくれることを拒否しないか、などなど、障壁となりうるものは非常に多いということです。

潜んでいるそれらのリスクが発生した時にどうするのか、「コンティンジェンシープラン」を練っておくように、またそれらをいつ発動させるのか考えておくようにと指摘を頂きました。何をしようとしても、潜在的に障壁となるものは必ず存在します。それらを乗り越えるためには、実践を前提にした想定を繰り返し、どんな予想困難な事態も乗り越えられるだけのたくましさを、案を考える時点で備え付けておく必要があるのだと学ばせていただきました。

 ちなみに、この授業プレゼンは、法律と言う観点で実行不可能なものでした。インドは教育に力を入れている国なので、授業を妨害しうることは禁止されているのでした。法律という何があっても超えられない障壁の存在を事前に知ることで、それ以降に無駄な時間を使わなくてよかったかもしれません。

〇マネジメントについて

 僕は知るカフェインド工科大学ボンベイ校店の店長という立場を担いました。店舗スタッフをマネジメントし、店舗のパフォーマンスを上げることは店長の仕事の1つです。が、2月は自分のマネジメント力のなさで結果を出すことはできませんでした。3月はその焦りから、どうしたらマネジメントができるのかを自分なりに考えたところ、いくつか答えのようなものが出ました。

①チームの目標を明確に立て、可視化すること。

②チーム内で対話を繰り返すことの大きく2つです。

 ①これは、どう考えても当たり前です。マネジメントのゼミに所属したことがあるにとっては当然のはずでしたが、2月はこんな基本的なことさえもできていませんでした。それはなぜかというと、チームの目標を設定することが正しいのは知っているが、それに店舗の人たちは満足するのだろうか?と迷ってしまったことがあります。店舗内には「本気で成果を残したくてインドに来た!」という人から「インド人をこの目で見てみたくて来た!」と言う人まで様々で、1つの目標を設定することが彼ら全員を満足させられるか勝手に不安になってしまったのです。そのため目標を何となく設定せず、何となく時間を過ぎさせてしまった2月となりました。反省です。しかし2月の終わりには、スタッフ全員から「何かを頑張りたい」という気概を感じ、3月の初めに目標を設定しみんなに共有しました。また、目標を設定した初週は、自分が誰よりも目標を追いたいという姿勢を行動から伝わるようにし、みんなに目標への思いが伝染するようにしました。結果、インド事業部から追わされている3つの月間指標のうち1つを初週の段階で達成してしまう、ということも起きました。他の数字も好調で、結果として3月度は僕が率いたBombay店がインド店舗5店舗のうち最優秀な店舗と言うことで表彰までいただきました。これはひとえに、いつの間にか僕以上に本気になって目標を追う姿勢を貫いてくれた店舗スタッフのおかげです。この場を借りてお礼します、ありがとう。

 ②に関しては、チームに大きな変化を生んでくれました。プライベートの時間を使い、今までの生い立ちやこの2カ月で何をしたいかなど、各人が本音で胸の内を明かす時間をとったのですが、この時間の前後でチームの結束が圧倒的に変わりました。それまではどこか表面的で、何となく仲良さそうだったチームが、すべてをさらけ出し、お互いを心から信頼するチームへと生まれ変わりました。そのチーム状態になると、議論をする際も安心して自分の意見を言えたり、人の意見を建設的に否定したり、仕事面でも人の強みを見て役割分担をしたりと、チーム内での相互作用が増えていきました。結果的に、帰国日には悲しくて全員が涙を流してしまうような、素敵なチームになりました。一見、仕事以外の場面での対話に時間を投資することは時間の無駄に思えるかもしれませんが、その投資は仕事においてもプライベートにおいても大きな成果を生んで返ってきます。Googleが効果的なチームの条件を調べるために行った「プロジェクトアリストテレス」の結果、「心理的安全性」が効果的なチームに最も必要なものでした。プライベートでの、自分の内心からの対話を重ねるというのは、この心理的安全性を高めるのに大いに役に立ってくれるみたいです。あと、純粋に人の価値観に触れることは楽しくもあります(笑)




〇夢を持ち、自分を鼓舞し、人に語り、行動すること

 これは、社員さんが僕個人にくださった言葉から得た学びです。パッション色が強いので、苦手な方は飛ばしていただいても構いません(笑)が、僕にとっては今回の2カ月で得た1番大切な学びでした。やはり、自分の闘志を掻き立て、日々結果を出すほどの努力を続けるには、自分が心からわくわくするような夢を持つのが1番です。わくわくするほど夢って、今の自分には難易度が高く見えてしまうものかもしれません。でも、その高い夢に向かって、本気でかなえると思って、本当にかなえてやる覚悟で日々努力することで生活は充実していきます。どうしても、人は弱いです。その夢をあきらめる理由なんていくらでも見つけることができます。だから、人に夢を語って自分を引くに引けなくしてしまえばいいです。人に語っていたら、その人が一緒に夢を追う仲間になってくれるかもしれないです。そして、人に語ったことを有言実行すること。夢見るだけの馬鹿になってはいけない。この1日、この1時間を、自分の語る夢に少しでも近づいていけるような濃い時間にするのです。やる気の出ない時こそ行動するべきです。やる気のある時にはみんな行動できるので、やる気が出ない時こそ黙々と手を動かします。結局、夢をかなえる手段って行動しかないんだなって実感します。動かないと何も進まない。だから、黙って手を動かします。そんな日々を重ねて、自分の理想を手繰り寄せていきます。

■今後に向けて

 ↑で、とっても大きな口をたたいてしまいました。でも、さらに自分を追い込むために、自分の今の夢をここに書いてみます。本当に、引くに引けなくなってしまいます(笑)

僕の夢は、抽象的な言葉で言うと、「老若男女多くの人に愛されながら、人生を楽しむグローバルリーダー」です。たくさんの人と豊かな関係を築きながら、リーダーシップを発揮し、日本に限らず活躍します。遊びや冒険も大好きのまま、1度きりの人生たくさんの刺激を楽しみたいと思っています。

 もう少し具体的な目標というと

・30代で億単位の金額を稼げるようになる。自分のビジネスを持つ。

・30代までに累計読書数1200冊レベルの教養を身に付ける。

・30代までに、官公庁、芸能界、日本企業、グローバル企業など各方面に太い人脈を築き上げている。

・出会った人を必ず虜にできるほどの魅力を身に付けている。

とかですかね(笑)夢は大きく、本当に実現すると思って、また自分なら本当にできると思ってたくさん行動します。

 夢を見据えて、大学生活では「ハードワークに耐えられる体力づくり・情報収集から日常会話までできるほどの英語力をつける・コーポレートファイナンスの勉強をする・卒業までに累計読書数350冊レベルの教養を身に付ける・留学を活かし、簡単なフランス語を話せるようになる」といったことに精進していきたいと思っています!!僕が弛んでいたら、誰か叱ってください(笑)


■おわりに

 今回のSHIPは正直、自分にとって挫折経験でもありました。自分はもっとできると思っていたし、もっとインド事業部の期待に応えたかったという思いがあります。でも、そんな悔しい体験の中でも、たくさん楽しかった思い出もできたし、たくさん学びを得ることができました。どういう学びを得るか、どういう思い出を作るか、それは実際に渡航するあなたにしか分かりません。この記事をここまで読んでくれているあなたが応募の一歩を踏み出し、素敵な渡航期間で彩られることを心から願っています。

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